銀行のICカード導入の話

ダイヤモンドの今週号に「偽造カードの犯罪対策で後手に回った銀行の右往左往」というのがCloseUpに取り上げられている。
偽造カードの被害が増加していたので、世論を受けた行政側が銀行のケツを叩いたってことで大体マスコミの最近の報道も一致しているのだが、何かそれについて根本的に変な感じがする。


基本的に、銀行のビジネスモデルってのは美術館の傘預かり所のこんな例に例えられる。

  1. 美術館に傘の預かり所がありました。
  2. 美術館に来る人は次々に傘を預かり所に預けていきます。(ここで、美術館に来る人は必ず傘を持っていて、傘は全て同じ傘という前提。)
  3. 預かり所の人はある日ふと、預けに来る人は大体2時間後に預けた傘を取りに来る事に気づいた。そして、美術館には大体10分おきに人が入場して行く事にも気づいた。
  4. つまり、次々と傘を預けていくと、大体常に11本の傘が預かり所にはある事になる。しかも傘は全て同じ傘なので、どれを取っていっても同じである。
  5. そこで預かり所は、美術館に入っている人が戻ってくるまでの間に、美術館の外を歩いている人に傘を貸してレンタル料をとることにした。
  6. 美術館に来る人も損はしない(まあレンタル使用による価値の減耗とか言うのはこの際考えない)。傘を借りる人には喜ばれる。預かり所もお金が入る。みんなが喜んでめでたしめでたし。

ちょっと考えれば分かるとおり、傘=お金なのだが、預かった傘は返さなければそもそものビジネスは成立しないので、あまりレンタルに出しすぎてたまたま5人くらいがどやどやと美術館を出て行くなんて事態になったときに「傘が無い」なんて事になると信用問題である。これがまあ不良債権の見極めみたいなもんですな。まあそれは別の話。
で、ちょっと見方を変えると、傘を預けた人は、実は得をしていない。損もしてないけど。でもせっかく銀行の儲けに協力してやっているんだからそれもどうよということで、多少はその見返りをあげるよ、というのが金利なわけです。それも置いといて。


で、傘を預けた人って言うのは銀行のビジネスの元手となるものを提供している人であるわけです。とすると、実は美術館に傘を預けているのは、もはや「預けている」んじゃなくて、銀行のビジネスのために傘を「貸してあげている」ということになる。
貸したものは返しましょう。
借りた人に返しましょう。
ごく当たり前のことを出来ないビジネスには人は乗りません。だから費用問題がネックとか言ってる場合じゃないんですよ。うん。
行政がケツを叩いたからじゃなくて、もはや元の傘預かりと言う仕事すら満足にこなせないのなら店はたたんでいただきたい、と「貸している」側は思います。こんなとこに貸すよりは、最近は別の種類の預かり所があったりするからそっちに貸してやったり、借りたものを返してもらえないなら美術館に傘を持って入るとかそういう選択を考えるでしょ。



なんかごちゃごちゃ考えたんだけど、あまり纏まらなかったです、ハイ…。


何が根本的に変と思ったかって、みんな「預金」とか「預けた」って考えてるところに違和感を感じるのです。ってことが言いたかっただけ。