オタク市場の今後について

以前のエントリで、オタク市場は規模拡大すると共に陳腐化して破滅を迎えるという話を書いたのだが、ほんとうにそうだろうか。と、ふと思った。


オタクは「他人とは違う自分」に自己存在を見出しているというような書き方が木村剛氏のBlogだかに書いてあったのだが、少なくともそれは少し違うと思う。
別に「他人と違う」ことにアイデンティティ見出そうとやっきになってるわけじゃなくて、マジョリティの生み出す文化潮流に自分の個人的嗜好が合致していないと言うことだと思う。
結果的にマイノリティだから、その狭い(狭かった)社会に住みついてるだけで、別にその世界に多くの人が流入してきたからと言って、「他人と違うのが自分だったのに、自分に嗜好が似てる人が増えてきたからアイデンティティクライシスを感じるよう〜!」なんて人は(そんなに)いないっしょ。むしろ、自分の嗜好に社会が追いついてきたということから優越感すら感じるかも知れない(笑)
ましてや、マーケティングによって完全に嗜好を分類されて提供される商品が出てきたからと言って、オタク市場が終末期だなんて思いもしないだろう。
そう思っている人もいることは否定しないが、別にバンダイガンダムグッズをひたすらマーケット分析から出してきたところでほとんどの「オタク」が逃げ出すわけでもなかろう。他の市場と同じく、マーケットがでかくなったのだからそれだけ市場の購買力はでかくなってるはずだし、特に現状のままでも危機感を感じる必要はないと思う(のは甘いのかなあ)。むろん、企業努力をしなくても大丈夫という意味ではない。オタクの目は常に厳しくて、ピンポイントで嵌らなければ見向きもしない部分は多分にあるわけで、そのトレンドを外してしまえば大損こくことになり、安定的な収益をあげにくい世界ではあるわけだし。(だからマーケティングするんだけど)


ただ、マイノリティがマジョリティ化したときに、再びその中でマイノリティが形成されるはずだ。
オタクと呼ばれる市場がマジョリティ化したかも知れないが、より深い、微細なこだわりに生きようとする更なるマイノリティは相変わらず存在し、それを何と呼ぶかは知らないが、ニッチな市場はやっぱり存在し続けるんじゃないかと思う。
なので、そこをいかに見つけだすかという視点を失わない企業がいる限りマイノリティなオタク市場はなくなりはしないのではないかと。